※2021年5月 追記・更新
建築家 伊礼智氏による「i-works」は規格住宅のため、住まい手様の要望に合わせて変えられる部分とそうでない部分があります。
カスタマイズによって「i-works」が本来持つ心地良さを保てるか、要望によって崩れてしまうのかが大きな分かれ道になります。もしも規格の間取りや仕様が要望と大きく異なる場合は、変更を重ねていくより、「i-works」の設計作法をうまく取り入れ一から注文住宅を叶える方が結果として安価に、より快適な住まいになるのです。
その上で、これまで建ててきた経験を元に変更に関する事項をまとめてみます。
建物プロポーションが崩れると完成された「i-works」ではなくなってしまいます。大屋根と建物のバランスあっての高い意匠性が実現されているのです。
室内の希望を優先するあまり屋根勾配や棟木の位置(屋根のてっぺん)を変えてはなりません。具体的には小屋裏のスペースをもっと大きく高く使いたいからと言って、急勾配に変えるなどのことはできません。
「i-works1.0」で言うと、4間角(7,272mm×7,272mm)の建物だからこそ完成された心地よさを崩すことになりかねません。どうしても床面積が足りない場合は、先日ソーラーコムで完成した「i-works3.0」のように下屋を付けるなどのアレンジで対応します。
「窓の位置を変えないで、採光や風は大丈夫なの?」
そのために配置計画があります。光と風、近隣の視線、緑の借景を適切に設計するために、敷地条件に合わせてこの真四角のプランの東西南北を反転させてプランニングしていきます。
もちろん建物の配置そのものは、人と車の動線から考えるのが設計の基本です。
場合によっては無理に南側に大きな窓を向けることをせずに、北に開くこともあるのです。
例えば北のデッキは夏場とても快適です。たとえ南や東であっても、見たくないものがある方向に無理に開く必要はないのです。
思い切って南は閉じ、北に開いてみると、条件によっては見違えるほどの暮らしになることもあります。
反転プランはパンフレットにも登場していますので資料請求フォームからお問い合わせください。
「i-works」で定められた規格品は変えないことが望ましいのですが、そこには常に住まい手様の要望や予算があることも理解しています。寸法・材質・デザイン・色については、部位ごとにアドバイスしています。
ソーラーコム標準は杉板の特一等材を使用します。多くの方が望まれるオプションは、杉か桧の上小節材です。節は経年美化によって床が飴色になっていくにつれ気にならなくなっていくのですが、「それでも節は嫌」という方はこのようなオプションを選択されます。立ち仕事や子どもたちと寝転んで過ごされる方は柔らかく、暖かい杉をお勧めします。
土佐和紙を使用します。手入れしやすいエコクロスでも構いません。本来なら、珪藻土や漆喰にしたいところですが、吹抜けまでぐるり塗るとなると100万工事は避けられません。お勧めは寝室、玄関、洗面、トイレの小さな空間に自然素材の塗り壁を施してあげるととても快適な空間になります。最近ではi-works標準のヴィーナスコート(自然素材の塗り壁)で使用する素材を、クロスに乗せたものが登場しました。これを選択すれば塗り壁程の追加もかからずに済みます。空気を綺麗にしれくれる無垢の構造材を隠すなら、自然素材で覆うことが理想です。
造作キッチンも豪華な設備や引き出しが増えていくと増額は避けられません。あくまでオープンの簡素な形がソーラーコム標準です。既製キッチンの場合も、ショールームに行けば最新の便利なものがたくさんありますが、付属機能をつけていくと結果的に「造作の方が安かったよね…」ということになりかねません。スタートはお安く設定していますので、どの程度こだわっていくかは他の部位と相談しながら決めていくのがいいでしょう。
i-works標準は、内装は板貼り、お風呂はハーフユニットバスですが、割り切って既製品、フルユニットバスでも構いません。ただ、i-works標準がなぜ1坪のお風呂、1坪の洗面を木製で仕上げていくかと言うと、小さな空間を無駄なく使うことで空間が繋がり、広く感じるからです。例えばお風呂のドアを製作にすることで天井まで枠を伸ばせます。お風呂と洗面の空間が繋がって見え、伸びやかになるのです。そういった心地よい伊礼設計作法を理解した上で、その先の選択をするようにお勧めしています。
「i-works」が「i-works」である所以は窓の設計にあると言っても過言ではありません。すべての窓に意味があり、外から豊かなものを取り入れる大切なところです。ガラスが透明であるか擦りであるかと窓の開き方向は建設地に合わせて変更できます。
真四角の建物に限らず、角に窓を設けると空間が伸びやかになります。空が見えると尚いいですね。そうでない場合も木製の小庇を眺めて気分よく暮らすことができます。
廊下などの行く先が窓でその先に緑が見えると、広く豊かに感じます。行き止まりを壁にすることは空間を分断していることになります。たとえ隣地が迫っていても窓を設け、中木を一本植えることで自然な暮らしができるようになります。
「建築とは外をどれだけ取り込むか」。哲学者もそう言います。「i-works」は、光・風・木々・揺らぎ・音・四季の匂い、自然界に存在する気持ちのいい様々な要素をどれだけ取り入れるかに挑戦した建物とも言えます。ただし窓は無数に設けるのではなく、数を絞って大きくする。そうすると影ができ、奥行きある立体的な空間になるのです。
前述の通り、なるべく枠の小さく、大きな窓を選びます。室内ドアや収納扉も同じです。メリハリをつけるために、空間を繋げるために、出来る限り製作ドアにして垂れ壁、袖壁を少なくするのもポイントです。
「要望通りに変更・追加したはずなのに、なぜかパンフレットと違う…」ここが規格住宅の難しさであり面白さでもあります。経験から見ると「i-works」は”余白”を大変上手く使っています。例えば何もない白い壁。ここにスペースがあるからと言って棚板を付けたり、小物収納を増やしたりすると「i-works」が持つ空間の完成度が崩れかねません。完成された「i-works」をアレンジするということを住まい手様が理解され、工務店が責任をもって設計施工を行うことが大切です。
外構の完成度や緑の量まで決められているわけではありません。近隣状況や予算に合わせてでいいのですが、例えばパンフレットの外観が誰の目にも完成された作品のように映るのには大きな理由があります。
常緑・落葉を織り交ぜて四季室内に取り込むようにします。外から見ると帰宅するのが楽しみな家、街の景観に貢献する家になっていきます。また3~5mの緑は建物が小さく見える視覚効果があります。建物を小さく見せることでフォルムは良くなり、殺風景でない可愛らしい家になります。水遣りと落ち葉の掃除は大変ですが、四季を感じて暮らすには必要不可欠な要素です。
ソーラーコムでは、伊礼さんの設計作法の則り、大阪、奈良などの地域性に合わせて標準化した素材・仕様で「i-works1.0」「i-works3.0」の実績を重ねています。
価格は “2430万円~”
標準仕様を少し説明しますと
左官塗り壁、国産無垢材、和紙などの自然素材を基本に、健康と環境に配慮した素材で仕上げていきます。
前述の通り、「i-works」はゼロから細かく設計していくのではなく、プランと仕様が決まっています。例えば工業製品を多用するのではなく、徹底的にスペースと視覚の無駄を省くために手作りで作り込みます。建物の「部屋は広い方がいい」「収納はあればあるだけいい」という考えは止め、どうすれば小さくても広々住めるかが合理的に考えられています。小さな建物に出来ると、探す土地も、建物もそれだけ安くなります。そこで質を上げることに注力できるのです。そこが伊礼建築の心地よさに直結する部分です。
また、毎回異なる仕様や部材をばらばらに使っていたのでは、手間とコストだけがどんどん積み重なり、家全体としての「質」の追求に至りません。
厳選された素材を決った型で導入し、設計・部材・現場のコストを絞り、見過ごされてきた豊かに暮らすための外構・植栽・家具の質を高め、結果として豊かな住まいに繋がるのです。
ソーラーコムでは2021年から「i-works」を建てるための講座を開設しました。
ここでお話した価格と仕様はもちろん、オプションも含めてどのくらいの価格帯が多いのか、また皆さまの敷地条件に合わせて快適に暮らすにはどうプランニングすればいいのかなど、形式的なことではなく、実地で何が必要かというところにフォーカスしてお話していきます。
伊礼さんの実際の講演動画も使用しますので、その設計作法を理解することもできます。
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