【豊中市】陽の木の家 45坪、プライベートとパブリックの両立

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【豊中市】陽の木の家 45坪、プライベートとパブリックの両立

見どころ

豊中市に45坪の木の家が完成しました。オープン空間(開放感)とプライベート空間を両立したお母さまとの同居の木の家です。前回の25坪のかわいい家に引き続き、好評だったお施主様の家づくりストーリーを読みながら写真付きでご紹介します。お施主様の語り原文をそのままお楽しみください。(写真注釈はソーラーコムです)

家づくりのきっかけ

2年前に父が亡くなり、母が実家に一人住まいになりました。私たち夫婦にも子どもが生まれ、大阪市内の賃貸マンションが手狭になってきたのと、主人が同居してもいいよと賛同してくれたので、築55年の家を建て直すことにしました。また私の妹は転勤族で、もう実家には戻れないから住んでいいよ、と言ってくれたのも一つありました。
叔父が工務店をしていたので多少手入れを行いながら、父が気に入って40年ほど住んだ木造の家だったので、当初はレトロ風リフォームも考えましたが、解体してみないと躯体の劣化状況が分からないことと、中途半端な築年数でもしかしたら新築よりも高くつくかも…と考え、結局は建て直すことにしました。


選んでいただいたのはソーラーコムの「陽の木の家」。表情豊かなそとん壁と木を見せる外観


山から直接採ってくる植栽と外壁のカラーバランスがとても好評


外物置、玄関ドアのポーチ周りは回遊動線にもなっている

 

なんせ55年前の建物なので、震災を経験して躯体が歪み扉も開きづらくなったり、木製窓から隙間風が吹きこみ、断熱材もない土壁もどきで冬場は外とあまり変わらない室温になってしまい、高齢になる母のためにも建て直しに踏み切って良かったなと思います。


過剰な数値だけを求めず、コストも考えた性能、長持ちする自然素材の断熱、空気のデザイン、無垢材に呼吸させるなど、複合的な設計がソーラーコムの特徴


今回選んでいただいた木製のi-works玄関ドア。気密も取れて、木の家にとても合う質感で大変に人気


小さめの外物置、背の高い玄関内の土間収納、用途も異なるたくさんの靴の数にも対応できる


なるべく既製品を外観に使わないよう選んでいただいた。門柱・庇・玄関ドア・戸袋・軒・デッキ・塀、完成見学会でも一目でわかる「陽の木の家」と言っていただける

工務店選び

私自身が以前内装材メーカーに勤めていたのもあり、ハウスメーカーさんとの付き合いなどもありましたが、住宅展示場に行ってもキラキラした住宅や、似たような住宅にいまひとつ気乗りせず…無添加系のメーカーも考えましたが、なにか少し違うなと。
住宅を得意とする設計さんにお願いしようとも思いましたが、やはり設計費用が別で掛ることに後ずさりしまして…1件地元密着で自由設計の工務店に何度かプレゼンしてもらいましたが、あまりハウスメーカーとの違いもなく、トキメキませんでした(笑)


窓はi-worksでもお馴染みのLW。ソーラーコムではこの窓ひとつでシーンを使い分けできるようにすることが多い


ひとつ目が障子。安定した柔らかな灯りを取り込める。断熱機能としても優秀で、光熱費の削減にもなる


ふたつ目が木格子雨戸。灯りと視線を絞ることができる。通風にも役立ち、デザインとしても見ていて気持ちがいい


みっつ目が引き込みの全開放。縁側とセットで開放的な休日を送ったり、冬は枠のないガラス障子で景色を眺めるのもいい。もちろん網戸も1枚の全開放型

 

以前からインテリア雑誌や住宅本をかなり眺めていたのですが、吉村順三さんの弟子の設計さんたちが作る住宅に何となく惹かれていました。そんな時に伊礼さんの住宅が建てられるメーカーが大阪にある!とネットでソーラーコムさんを見つけ、居ても立っても居られなくなり見学会に申し込みました。


お施主様が選ばれたのも建築家のペンダント照明器具。柔らかく食卓を照らし、木の家ともマッチしている


居間と繋がる続きの間には畳敷きがされている。製作した三枚の建具で仕切ることも、開放しておくこともできる


外の景色を切り取るように暗転して撮影した写真がこちら。最小限の灯りであることが景色や対象物を美しく照らしてくれる


縁側は日差しを遮る深い軒、デッキ、大きな窓からなり、腰を下ろすと緩やかな時間の流れを感じる

モデルハウス、完成見学会、勉強会、設計契約までの打合せなどの思い出

モデルハウス、完成見学会で4軒ほど見せてもらいました。それぞれのご家族に合わせた工夫がされていて、毎回楽しみに伺いました。
コンパクトな建物なのに明るさがあるだけではない濃淡や陰影と、それぞれの居場所もある感じで落ち着く印象で、さすがの設計だなと思いました。


楽しい居場所1、リビング階段。3段目に腰かける子どもとキッチンに立つ母の目線が揃う


楽しい居場所2、続きの畳の間。普段は建具も開放して、リビングと繋がる広い空間に


楽しい居場所3、2階子ども空間のデスクカウンター。吹き抜けに面した本棚付きの居場所。吹き抜けで気配も感じ、集中もできる


楽しい居場所4、ダイニング。中村好文さんの照明の元、窓の景色を眺めてお茶でもしたくなる

 

大貴さんの勉強会では今後のことも考えた基礎の話しや、自然素材の断熱材の話しなど伺って、納得し安心できました。私自身有機化合物が苦手なこともあって、もちろん無垢の木材や漆喰壁、そとん壁など天然素材の材料たちにも心が躍りました。(予算の関係で漆喰壁は断念しましたが)。 そしてなんといっても全館空調ということも決め手となり、体験させてもらうとますます期待が膨らみました。今までのように夏は暑くない、冬は寒くないという天国のような建物で…実家の風呂場みたいなヒートショックを起こすこともなくなるし、機密性の高いマンションのような結露やカビに悩まされることもなくなることに期待大でした。


空気の通り道を設計することが快適な全館空調への第一歩。決して機械だけには頼らない設計を心がけている


子どもが住み継いだ後、莫大なリフォーム費用がかからないような構造にしておく。呼吸して長持ちするウールの断熱


床板は杉の上小材。節がほとんど目立たないグレードで空間がスッキリ。夏は涼しく、冬は暖かい足元になる


寒く厳しい環境で育つ梼原材。強度、粘り、調湿、肌触り、住めば住むほど愛着の湧く木材になっていく

またコンセプトとして、i-worksだけではなく陽の木の家の別バージョンもあり、家族が変化する何十年もあとのことまで考えておられるところに、惹かれたのかもしれません。こちらの要望の多さにも驚かれたかもしれませんが(笑)いろいろとアイディアを下さり、設計契約に至りました。

設計中のこと(間取り・プランニング・こだわった部分など)

間取りについては私がアマチュアで弦楽器を弾くのと、主人もクラッシック音楽鑑賞が趣味で、防音部屋を熱望し無理を言って考えてもらいました。あとは夫婦別の寝室を強く希望し(笑)2階は個室が多くなりましたが、母の部屋も一番いい所に考えてもらいました。当分息子の部屋も間仕切りなく広く使う予定です。土地については奥行きがなく南に開けた土地だったので、設計さんにはご苦労をかけたと思います。


防音室は室内外への配慮を施した。ドア、窓、空気の流れ、外壁、内壁。どんな音楽ライフを送られるのかとても楽しみ


居室の多い2階は各部屋からファミリークローゼットへアクセスできるようウォークスルーに


廊下には1階同様壁面収納を多く取っている


子ども空間は間仕切りできるようにしてオープンのまま子育てをしていく

 

お風呂については主人のこだわりが強く…ホーロー系のものにしました。また身体が大きい家族ですので、広めにとりました。脱衣と洗面を別けて回遊できる提案をいただいたので採用しましたが、いま仮住まいに住んでみて動線を考えると正解だったなと思います。
キッチンは中村好文さんや伊礼さんの事例を参考にしつつ、造作で憧れのステンレスのバイブレーション仕上げに!また実家のレトロガラスを工夫して入れていただきました。パントリーが欲しかったのですがスペース的に難しく、代わりに大きな収納棚を作ってもらったので、今から収納をシミレーションしています。


水回りは回れる家事動線になった。キッチン、物干し洗面、脱衣に行き止まりをつくらない便利な動線


定番の小さなセパレート脱衣場。ちょっとした無垢の棚便利で、建具を開けると洗濯機にそのまま服を入れられる造りになっている


お母さまが安心して暮らせるよう洗面・お手洗いは各階に設けた。同じ仕様・デザインの造作洗面台


2階は大容量の収納付き。水回りの床も無垢材であることで空気質も新鮮に


こだわった製作キッチン。L型にすることでダイニングを広くとった


吊り戸棚も建具屋に思い入れあるガラス障子を預け、リメイクした


カップボードも造り込み、木製建具とした

玄関には実家の一枚板を活用してもらい嬉しいです。リズムを付けるために斜めにご提案してもらったのも良かったです。窓や建具は既製品になりましたが玄関だけは木製にしたい!と費用UPも覚悟でここは譲れず入れてもらいました。
あと風の通りを考えて、部屋には2つ窓をつけてもらいました。


前回の池田の家でも採用された思い入れある一枚板の再利用。玄関の式台で生まれ変わると毎日が嬉しい


式台、土間タイル、木製ドア、洗い出し土間、そとん壁の外物置、色合いのバランスも良く落ち着いた玄関まわりになった

契約(見積もり・予算について)

道路や建築許可が少しややこしい土地であるということが判明し、役所との折衝に何度も走ってもらったことと察しますが、無事に建築にこぎつけたのは、いままでのご経験があった川口社長だったからだと思います。ありがとうございます。
また、ご近所まわりなどお気遣いいただいたと思います。
近所の方から「柱はしっかりとしてるし、丁寧に家づくりしてはるね~」と声を掛けてもらいました。プレハブ系の会社ではあっという間に建ってしまいますので、じっくり木造の家づくりの過程を楽しませてもらいました。
コロナ禍でなければ、高知の森林組合にも行ってみたかったですね。


本来なら家族で現地伐採した記念樹を家の一部に使うソーラーコムの家づくり。伐採ツアーを再開したので住まい手OB様としてご招待する予定


「陽の木の家」では構造計算に含まれないとしても、伝統工法「長ほぞ込み栓」で全棟施工している

 

大工さん・職人さん・ソーラーコムスタッフ・現場で感じたことやエピソード

子連れでショールーム周りはこちらもフラフラでしたが、花田さんにお付き合いいただきました。
何度も現場に伺いましたが、現場の大工さんや職人さんは気軽に見せてくださいました。
設計の福井さんにも、何度も修正いただき感謝しております。
これからも長いお付き合いになると思いますので、川口社長、ソーラーコムのみなさんご自愛ください。

 

もうすぐ完成、無垢の木の家での子育てや趣味・日常をイメージして楽しみなこと

やはり木のぬくもりと匂いですね。私が冷え性なので冬場は厚い靴下が手放せませんでしたが、これからは冬も素足で歩けるのかな、と柔らかい木の感触を楽しみにしています。今は賃貸なのでフローリングもどきの冷たいビニールタイルですが、息子も木の床で思い切り遊ぶのを楽しみにしています。
音量をあまり気にしなくていい音楽部屋ができるので、主人もオペラを観たりしておそらく籠りきりになるのでは…と思い浮かべています。
母は南向きの暑くて寒い家から解放されて、OMソーラーと羊毛断熱材が入った家に住むのが楽しみだそうです(笑)あと我が家初の食洗器で洗い物から解放されるのもです!
妹夫婦にも赤ちゃんが生まれたので、階段のガードは早速必要そうですが、泊りにくるのを楽しみしているようです。


配膳が楽にできるL型の壁付けキッチン。退屈しないよう窓からの景色も意識して植栽されている


南側大開口の格子雨戸。外から室内は見えない工夫がされている


触れたくなる優しい木の手摺。階段は緩やかでご年配の方でも負担が少ない


吹き抜けの天井は無垢の構造現しで仕上げている。コストをかけず調湿は抜群になる

どこに何を収納しようかな~とシミュレーションしながらですが、まずは今の荷物や洋服を断捨離せねばと、嬉しいながらも途方に暮れております…
木の空間とまぶしさを抑えた窓を見ながら、好文さんの照明の下で夕方からお酒をのんでご飯を食べるのを今から楽しみにワクワクしています。そして今まではスペース的に断念していた念願のNychairを手に入れたので、音楽聴きながらうたた寝するのも楽しみです!

 

いかがでしたか?

二世帯以上の同居になると比較的大きな家の設計になってきます。同じ豊中で完成した平屋の家も参考にしてみてください。

「陽の木の家」平屋の二世帯 完成写真

 

建物概要

設計・施工 設計・施工:ソーラーコム
建物概要 工法:在来軸組工法
敷地面積 187.66㎡(56.77坪)
建築面積 74.95㎡(22.67坪)
1階工事床面積 74.95㎡(22.67坪)
2階工事床面積 73.85㎡(22.34坪)
延床面積 148.80㎡(45.01坪)
外装 外壁材:そとん壁スチロゴテ仕上げ
木塀・デッキ(イペ材)
内装 主要構造材:梼原杉・桧
床材:梼原杉(特一等、上小節)
内装:エコクロス、土佐和紙
サッシ:アルミ樹脂複合、LW
浴室:フルユニットバス
完成 2022年6月
システム 全館空調「パッシブエアコン」
OM e-フィルター