【尼崎市】陽の木の家 4人家族24坪の小さな家

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【尼崎市】陽の木の家 4人家族24坪の小さな家

見どころ

2022年10月末、尼崎市に完成した24坪の小さな家。

今回もたんぽぽ通信10月号掲載された、お施主様の家づくりストーリーとともに完成した建物を解説していきます。

どうしても無垢の木の家で暮らしたかったこと、伊礼智さんやi-worksの設計作法が好みだったこと、当初の工務店で希望通りになっていなかったこと、色んな想いの詰まった「陽の木の家」が完成しました。

 

家づくりのきっかけ

現在小学一年生になる次男がまだ一歳の頃、ひょんな事から木の家のモデルハウスに立ち寄る事になりました。シンプルで四角い総二階建て。ドアを開けるとブワッと木の香りがして中は木に包まれて森林浴をしているみたいで、おもいっきり深呼吸しました。中はコンパクトでしたがむしろそれが心地よくて丁度良かった。いつか家を建てるなら木の家がいい。これが木の家に住みたいという私たちの家づくりの原点です。


「陽の木の家」定番の大開口。まずは木製ガラリ。灯りと視線を絞りつつ、眺めも楽しめる


中間期にはフルオープンも心地が良い。w1650mmでも十分な開放感


最後は障子。柔らかな灯りに魅了される。断熱性能を高め、居心地と光熱費のメリットも大きい


網戸も仕込んでいるため安心して窓を開放できる


照明を落とすと柔らかな自然光で暮らせる


障子を閉めても十分な明かるさを確保できるのは、建物計画によるところが大きい


小さな家ではリビング階段、蹴込のないスリット階段が良く似合う

 

工務店選び

コロナ渦で、ソーラーコムさんとの初対面はZOOM。電撃的な出会いでした。ソーラーコムさんの前に検討していた地元の工務店さんは木の家からローコストな住宅まで幅広く取り扱っているところでした。私たちは木の家への想いを当初からお伝えしていましたが、結果だけお話しすると、理想的な間取りにはなったが家の質(外壁、床、内装、断熱材)を落とす事を勧められました。それでも契約の日は目前。プランを練り直す時間もなくこんな事なら家を建てたくない、とまで追い詰められていました。そんな中、藁をもつかむ想いで調べて見つけたのが、伊礼さん設計のお考えも取り入れて建てているソーラーコムさんでした。すぐに電話で相談にのって頂き、翌日にはラフプランと見積もりを出して頂きました。三日後には検討していた工務店さんとの契約を白紙にして、ソーラーコムさんで契約させて頂く事を決めました。


配膳手間を省く、製作キッチンを眺める、無理のない小さな家、これらのために壁付けキッチンをL型に配置した


食卓は小さなスペースで足りる。”手元を隠したい”。この1点を整理できれば壁付けキッチンはかなり効果的


背面のカップボードがないため、真横に製作した。キッチンの足元と頭上に加えて十分な収納量がある


引き出しの中を自分でカスタマイズできるのが製作の利点


レールのない引き出しのためフルオープンが可能。出し入れがとても楽に


引き出しは床、家具との素材の統一性もあり、一層空間が広く感じられる


天板はステンレス。お手入れは必要だが、見た目のスッキリ感がある

 

土地探し

木の家を知ってからすぐに家づくりが始まったわけではなく、昨年までは主人が転勤族であった為、趣味の延長線上で色々な工務店さんの木の家を巡っていました。うちは男の子二人というのもあって、自然の中での子育てを理想としていました。ただ一方で同世代のこどもが少ない土地や不便すぎる土地も避けたい。実家の祖母のお世話を見ることもある為実家に通いやすい事も条件にあり、中々理想の暮らし方が定まらず、一番時間を費やしたのは土地選びか もしれません。神戸、三田、西宮、宝塚、伊丹、尼崎、と百棟以上のお家をみてきました。何年も決めきれなかった土地を購入するきっかけとなったのは、昨年コロナ禍でリモートワークが増え、環境が変わり、主人が転職したことでした。転勤がなくなったことで家づくりがぐっと現実的になりました。そんな中、実家のご近所の方々に、数年隣が空き家になっている。あそこに住んでくれたら嬉しい。そこの方に売ってくれないか聞いて上げると声をかけて頂き、トントン拍子に話が進み、実家の三軒隣の家を購入し建て替える事になりました。土地選びの決め手になったのは最後は環境ではなく『人』でした。私の両親、祖母、姉、ご近所の方々に囲まれて、こどもたちに賑やかな環境で愛情を存分に受けて育って欲しい。実際、打ち合わせでは両親にこどもを預ける事も多かったため、近くに実家があることで引っ越してから大変助かると思います。


居間から食卓側の眺め。低い天井と高い吹き抜けが心地いい


低く抑えた天井(2,100mm)を最大限生かすための設計作法が随所に隠れている


天井のダウンライトを止め、どっしりとしたペンダントライト一灯に絞った


建具や収納を天井の高さに合わせて製作することで視線の遮りを少なくしている


吹き抜けにキャットウォークがなければ…という意見もあるかもしれないが、これは家づくりが決してデザイン性だけではなく機能性(暮らしの優先度)も大切であることを体現する「陽の木の家」の考え方だ

 

設計中のこと

三方隣家に囲まれ東向きの四角に近い長方形の土地だったので、以前の工務店さんのプランを参考に二階リビングでラフプランをつくっていただきました。ですが、明るさも取りたいが実は九十四歳の足の悪い祖母にも遊びに来て欲しかったとお話したところ、川口社長が気持ちを汲み取って下さり『それなら一階リビングにしましょう!』と一階リビングに吹き抜けのプランを考えて頂きました。こどもたちは秘密基 地を作りたがるので、小屋裏空間にレゴの作品を並べたり友達に隠れ家を見せてあげたいと住まう事を楽しみにしています。


出会い当初から「永田格子夢だったんです」と奥様。ただの窓ではない特別な空間にしてくれる


陽の傾きによりスクエア状の影も傾く。照明とは影を楽しむことに尽きると感じる


ふと2階からのぞく格子が住まい手を幸せな気分にしてくれるのが不思議なところ

 

契約(見積もり・予算について)

陽の木の家の価格はよくある工事種類ごとの分厚くて分かりにくい見積もりではなく、定額の本体価格に追加プランの価格を足していくという分かりやすいもので、その追加プランに対しての予算も即座に答えてくださり、安心感が生まれました。永田格子や大きな窓等、値段相応の満足感を得られると安心しております。(そこが以前の工務店さんとの大きな違いでもありました。)結果、当初の予算を大きく超えてしまいました。ただ、河川が近くにあり地盤も緩い事が判明したため、地盤改良をする必要があったこと、また、大きな一枚窓、全館空調、ガス乾燥機、食洗機等、大きく値段が上がるものが多かったため、納得のいく金額です。


続きの間は小さくても落ち着きがある。この家は四畳半だが三畳で計画中の家もある


音と灯りの問題は残るが簡易的な個室としては十分。将来の寝室や家族帰省の間にもなる


片側はあえてオープンとした


壁一面の吊り収納。足元は地窓と足が伸ばせるようになっている


居間や食卓、季節のものも収納できる便利な空間となった


和室側からの眺め。2階とロフトのプラン次第で柱をすっきりさせることもできる


来客の際などちょっとした目隠しで配慮ができる

 

伐採ツアーの思い出

うちの家にギリギリ間に合うと声をかけて頂き家族四人で参加しました。こどもたちは物心ついてからの初めての飛行機でした。道の駅で絶品の鰹のたたきを食べ、隈研吾さんの素晴らしい建築物をまわり、坂本龍馬の脱藩の道を見て、民宿ではおかみさんの最高のおもてなしを受けました。お昼処では事前に選んだメニューを大貴さんが手配してくださっていたので、食事が出てくる時間を待つこともありませんでした。細やかな手配があってこその、通常のツアーでは味わえない濃い体験をさせて頂 きました。伐採では、何十年もかけて育った杉の木にこどもたちも斧を入れ、組合の方がチェーンソーで斬り倒しました。倒れた大きな音とその光景はとても迫力があり、この木で家を建てるんだな、と感慨深かったです。切ったばかりの木がたくさん水分を含んでいて、熟れたばななのようにぬるぬるしていて香りも強いということを初めて知りました。紙が出来るまでという本をツアー後に読んだのですが、こどもたちは丸太が山積みになっている写真を見て、ぼくたち行ったとこや!そうそうここで乾燥させんねん!と得意げに話してくれました。百聞は一見に如かず。五感で触れて体験させて頂けた事は一生の財産です。このような体験をさせて下さった森林組合の方々、ソーラーコムさん、大貴さん、ありがとうございました。また、ソーラーコムさんの家づくりに共感できる同士(OBさん)との出会いも貴重でした。


コロナ禍で参加できなかったOBさんと一緒に伐採ツアーへご招待した


家族で斧入れをして、目の前で切り倒される。そのまま家の梁になるということをこどもたちもここで初めて知る


森林組合や伐採だけではない、地のものをいただき、民宿に泊まり梼原を体感する2日間にもなる


伐採記念樹はじめソーラーコムの家は構造も仕上げも梼原材を使って建てる


柱・梁・天井にその梼原材を見せるかどうかはお好みでもいい

 

工事中の思い出

地鎮祭はたまたま親戚が実家に集まっていた日でたくさんの人に参加して頂けた事は大変嬉しかったです。上棟式ではあんな狭い道に五十メートル(二十五メートル?)もあるクレーン車が登場し、たくさんの大工さんが一気に建てていく光景は大変見ものでした。毎日のように現場を見に行きましたが、今日はこんな作業をします。明日はここをしていきます。と教えてくださり、こどもたちは今日壁が出来てる!階段が出来てる!と、一日一日完成に近づく家をこどもと見ることが出来た事は大変貴重な体験となりました。猛暑の中作業をしてくださった現場監督さん、大工さん、電気屋はじめ職人さん方、ありがとうございました。


2階は回れるクローゼット、洗面、脱衣、風呂がひとつなぎになっている


洗面周りの収納も下から上まで、意外にもかなりの容量がある


一直線に家事動線が並ぶ。水回りを1階に落とせばキッチンとも繋がるがそれでは土地も建物もかなりのボリュームとなるためバランスが必要とされる


2階造作洗面。タイル梁、木板天板、実験流しは20年前からのソーラーコム定番


特別に水栓はキッチン用を使用した。シャワー水栓がとても便利


窓からの灯りがタイルの様々な表情を引き立ててくれるのも楽しみのひとつ


朝の目寝覚めが嬉しくなるような洗面にしたいと常々考えている


帰宅後は1階の洗面で手洗いうがいができるようにしている


この機能を玄関土間内に設けるという方もおられる


トイレのみならず洗面が各階にあるのも機能面を重視した結果

 

大工さん・職人さん・ソーラーコムスタッフ・現場で感じたことやエピソード

棟梁さんは息子とキャッチボールをしてくださり、お手製の木のボールをプレゼントして頂きました。ありがとうございます。ソーラーコムの花田さんはふわっとした見た目とは反対に、ショールームの決められた時間の中できびきびと進めて下さり、私達の表情をよんで時にメーカーの方にどういう事か聞いてくださったり大変頼りになりました。ありがとうございます。設計の福井さんにはキッチンの形や扉の色等、たくさん相談にのって頂き、何度も図面を修正して頂きました。福井さんに相談すると悩んでいたのが嘘のようにすっと答えが出てきます。わがままな施主で困り果てたかと思いますが、最後まで付き合って頂きありがとうございました。そして、川口社長にはプランそのものも優柔不断の私の悩みやお願いもたくさん聞いて頂きました。工期がないので、奥さんもう変更はこれが最後ですよ、とおっしゃっていましたが、思ったようにした方がいいからと何度も打ち合わせして下さいました。感謝しかありません。ありがとうございました。
休日の日、朝起きてから日が昇るまでの時間に何もせず、永田格子や障子からの日の光を見ながら、ゆっくりとした時間が一番の楽しみです。


今回のアプローチは木製。ご近所さんとの憩いの場になればと、腰掛できるようなものにした


フルオープンにして縁側のように使うこともできる。今回軒は出さず、大屋根の出幅を大きくした


玄関ドア側からの眺め


シーンや用途が様々可能な窓回り


全て戸袋内に引き込めるようにしている


室内のフロアと段差を作ることで腰掛もしやすくしている

 

いかがでしたでしょうか。すでに木の家での暮らしを満喫しているお施主様。これからは住まい手様として長く家守りを一緒にしていきたいと思います。

新鮮な空気の中安心して暮らしていきたい方、構造や健康を重視される方、土地探しやプランニングの正しい進め方に迷っている方は一度ソーラーコムにお越しください。他では教えてくれない家づくり勉強会で丁寧に学んでいただけるようにしています。

次の「陽の木の家」の完成は2023年1月。宇治市での完成見学会も予定しています。お楽しみに。

住まい手様の十人十色の新しい価値観を得られるかもしれませんので、これからもぜひモデルハウスや完成見学会にお越しください。

 

家づくり勉強会の内容はこちらから。

 

建物概要

設計・施工 設計・施工:ソーラーコム
建物概要 工法:在来軸組工法
敷地面積 80.32㎡(24.30坪)
建築面積 40.58㎡(12.28坪)
1階工事床面積 40.58㎡(12.28坪)
2階工事床面積 40.58㎡(12.28坪)
延床面積 81.16㎡(24.56坪)
外装 外壁材:そとん壁スチロゴテ仕上げ
木塀、アプローチ:デッキ(イペ材)
内装 主要構造材:梼原杉・桧
床材:梼原杉(特一等)
内装:エコクロス
完成 2022年10月
システム 全館空調「パッシブエアコン」