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【香芝市】孫を迎える終の棲家
たんぽぽ通信2024年月号に掲載された施主様の家づくりストーリーとともにご覧ください。
住まい手様はご年配のご夫妻ふたり住まい。終の棲家として、またたくさんのお孫さんを迎え入れるための住まいとして、構造に、空気質に、素材に気を付けてソーラーコムを選んでくださいました。
(以下、お施主様の原文まま)
今から二十九年前、築七年の中古一戸建てを購入し、一年半後に転勤となって以来、住んだことがなかった娘たちの記憶にない自宅。二十年間暮らして子育てした神奈川で自宅を買い直そうかと何度も悩みましたが、長らく留守にした自宅とはいえ弟家族が住んでいたこともあり、 ご近所との暖かいふれあいがあるたびに、やっぱり最後には夫婦ともに実家が近いこの場所を終の棲家にしようと思い直しました。
古くなった建物にそのまま住む気にもなれず、漠然と建て替えたいと思いながら、子育てが終わりを迎え妻が大阪の実家で暮らすようになった後も、東京での単身赴任が六年間続いたため、いよいよ本格的に検討しだした時は、定年が間近に迫っていました。
モデルハウス展示場に初めて行ったのは、東京にある地熱利用の蓄熱式温水床暖房の家でした。真冬に家中どこにいてもほんのり暖かい室内環境に感銘を受けましたが、関東圏限定の会社だったため「地元の工務店を探されるといいですよ」とのお薦めがあって、ハウスメーカーではなく「工務店」探しが始まりました。
何冊もの本を読んで設計と住環境の大切さを学びながら、若いころに夢みた「ログハウス(木の家)」「蔵のような家(天然素材)」を思い描いていましたが、伊礼智さんの『「小さな家」70のレシピ』を見つけた時の「これだ!」との胸の高鳴りは今でも忘れられません。
その勢いのまま、ネット検索で見つけたソーラーコムの社屋に一人で伺ったのが六年程前。音楽家や画家、彫刻家、役者、設計士といった友人の、こだわりある自邸によく遊びに行っていたこともあり、初めて川口社長にお目にかかった時、失礼ながらも「クリエイティブでパッションのある友人に出会った」そんな気持ちになりました。
この会社となら一緒に楽しく家づくりをさせてもらえるだろうとの思いから、難攻不落の夫との交渉が始まり、その後、夢見る妻の抑え役で現実的な夫はいくつもの検討を重ねましたが、最終的には「納得の完成保証制度がある良い工務店をみつけてくれた」と、信頼してソーラーコムの皆さんに家づくりをお願いすることになりました。
社屋の二階にある、まさしく「住みながらの暮らしが見れるモデルハウス」は、打合せに伺った際に何度も見学し、花粉症の妻が真っ先に目を付けたサンルームは、他では見かけない部屋なので、間取りや設備を細かく確認させてもらいました。
洗濯機置き場、スロップシンク流し、私の趣味である包丁研ぎ用の作業台など、実際に使ってみるのが今から楽しみです。
また、モデルハウスの和室にある「付長押」は、我が家では二階にきれいな柾目の杉板で作られ、和服を掛ける衣紋掛け、寝室のハンガー代わりに使い勝手が良さそうな仕上がりで、部屋のアクセントとしても欠かせない存在です。
単身赴任から戻った一年前からは、なかなか機会がなかった完成見学会に参加し、OB家族のこだわりから多くのことを参考にしました。
また、現地案内役の大貴さんには、設計プランを実際に確認しながら、社長とは違った感性で私たちがハッと気づくようなアドバイスをいただきました。
注文住宅なので当たり前なのですが、一つ一つの素材や色、サイズなど最後に決めるのは自分たちなので、設計の福井さんからメールが届くたびに、完成見学会の具体例を思い出しながら、夕食後に夫婦であーでもないこーでもないと延々と話した上で、翌朝になると互いに違う選択を見つけるなど、毎回念入りな検討になって大変ではあったものの本当に楽しい時を過ごしました。
社屋での打合せでは、社長が私たちの考えや想いを聞き取りながら、その場で設計図に手を加えてイメージした通りの間取りが描かれていく様は、豊富な経験に裏打ちされたアイデアと発想によるものと感心し、営業と設計担当が別々の会社ではどうしているのだろう?と疑問に思うほどスムーズに進めることができました。
また、次の打合せに伺うと前回の要望を基に、私たちの希望や考えを上回るさらに洗練された間取りの提案があり、毎回のように「いいよね。さらに良くなったね」と言いながら帰りました。
設計の福井さんには、いつも丁寧に返答いただき、現場の大工仕事が始まって実際に家が形になっていく中でも、一つ一つ確認しながら本当に安心して家づくりをすることができました。また、妻からの使いやすさやかっこ良さといった抽象的な疑問にも適切に対応してもらい、現場での打合せはいつも長時間となりましたが、図面だけでは解らない気づきやイメージを確認する大切な時間となりました。
大工の古田さんとは、週末毎に現場にお邪魔していろいろ話しましたが、まず初めに驚いたのは、大工仕事のほとんどを一人で作業することで、いろんな人の手が入らないため本当に安心してお任せできると嬉しく思いました。現場に伺うたびに、自分たちが想像していた情景以上に美しく、丁寧に仕上がっていく様は、あたかも芸術作品のようであり、妻は毎回感動して「サインをどこかに入れて下さい」と本気で頼んで困らせていました。丹精を込めて丁寧に造られた我が家なので、最終日には「大事に使わせてもらいます」と感謝の気持ちを伝えました。
転勤族のため結婚してから住んだ家は九軒、使い勝手や不便なところ、取り入れたい設備など、実際に使った経験からこだわった部分は数知れません。
部屋ごとにエアコンを設置して室外機が家の周りを取り囲むのも、冬に暖かい部屋を出ると廊下やトイレが冷やっとするのも解消したく、家の中ではいつでもどこでも快適な温度で生活できる全館空調をと思い、その際に出会ったのが、床下に温風が流れ本当に丁度よい室内環境を生み出すパッシブエアコンでした。
東京で著名な設計士と話した際に「これからはパッシブエアコン」と言われたことも印象的で、完成見学会で体感するたびに惚れ込んでいきました。
間取りで一番悩んだのは、キッチンを壁付け・対面・アイランドにするかで、階段の最上段、お風呂やダイニングテーブルの大きさなど、いろいろ悩んだ結果、最終的には一番初めに設計された間取りとなっていました 。
その他には、社長から初めてと言われた引分けの永田格子、桧材のダイニングキッチン天井、あえて引き違いにしたガラリ、引き戸の手掛かりや引残し、棒状の玄関手すり、シングルサイズの敷き布団が二枚入る幅の押入れ、日の目を見ないけど捨てられない物を収納する小屋根裏収納、スイッチ棚や姿見鏡など、挙げるときりがありませんが、的確な設計プランやアドバイスがあったからこそこだわりを実現させることができました。
終の棲家として建て替えた我が家、父を介護する母と実家で共に過ごした妻は、いずれは一階のみで暮らせるようにと、トイレへの導線や外から介護部屋へ入るルートなど、あくまで準備なので完ぺきではないものの介護にも対応できる間取りとし、いずれ使わなくなる二階は寝るだけと割り切って室内ドアを設置せず、家中のドアを引き戸にして老後の快適な住み心地をイメージしました。
大工仕事が終わってキッチンも設置され、あとは内装と電気設備、外構、植栽を残した今、デザインと見た目を重視する妻、性能と使いやすさが中心の夫、出来上がっていく終の棲家を楽しみにしながら、足掛け七年に及んだ「家づくりストーリー」が終わることに、一抹の寂しさを覚えています。
夫婦二人の生活は新婚以来の久方ぶり、家財道具を一旦手放したため、車を含め多くを新たに買い直すことになり、これまでの生活が新しい家で変わっていくのではなく、全く新しい生活が始まっていく期待感が大きく、移住するようなワクワクした気持ちです。もともと在宅勤務をベースにフルタイムで働く妻と、定年再雇用でテレワークが主になる夫の生活のため、家で過ごす時間が多くなり、陽の木の家の木の香りに包まれて過ごす終の棲家での暮らしをとても楽しみにしています。
最後に、私たちの家づくりに様々な方面から関わり、彩り、盛り上げて下さった皆さまに心から感謝いたします。木の家の熟成を楽しみながら、残りの人生を豊かに過ごさせていただきます。本当にありがとうございました。
設計・施工 | 設計・施工:(株)ソーラーコム |
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建物概要 | 構造:木造2階建て 工法:在来軸組工法 |
敷地面積 | 133.92㎡(40.51坪) |
建築面積 | 70.39㎡(21.29坪) |
1階工事床面積 | 70.39㎡(21.29坪) |
2階工事床面積 | 36.44㎡(11.02坪) |
延床面積 | 106.83㎡(32.31坪) |
外装 | 外壁材:そとん壁スチロゴテ仕上げ |
内装 | 主要構造材:梼原杉・桧 床材:梼原杉(特一等) 内装:和紙、エコクロス サッシ:アルミ樹脂複合 浴室:フルユニットバス |
完成 | 2024年4月 |
システム | 全館空調「パッシブエアコン」 |